今年の秋から、バスケットボールの新リーグ「Bプレミア」がスタートします。
その中核となるのが『B革新』と呼ばれる大きな制度改革です。
数ある変更点の中でも、特に興味深いのが
**「勝敗による昇降格制度の廃止」**です。
これまでのように勝ち負けでリーグが入れ替わるのではなく、
チームの売上、観客動員、アリーナ環境といった“クラブとしての価値”を基準に、所属リーグが決まる仕組みになります。
なぜこの改革に惹かれるのか。
それは、日本のスポーツ界に根強く残る
「勝利至上主義」に一石を投じる可能性があると感じるからです。
日本のスポーツは、勝つことに価値が集中しすぎているように思います。
勝てば称賛され、負ければ関心を失われる。
W杯、オリンピック、プロリーグ、全国大会──
規模に関係なく、似た構図が繰り返されています。
もちろん、スポーツに勝敗は欠かせません。
勝ち負けがあるからこそ、感動が生まれるのも事実です。
ただ、それでも今の状況は少し行き過ぎてはいないでしょうか。
現場、観客、メディア、保護者。
あらゆる立場で「勝つこと」ばかりに焦点が当たりすぎているように感じます。
かつての日本は、人口が増え続け、大量生産・大量消費が当たり前の時代でした。
競争を促し、勝者を称える仕組みは、その時代には合理的だったのかもしれません。
しかし今は違います。
人口は減少し、価値観も多様化しています。
そんな中で、従来と同じ“勝ち残り型”の考え方を続けていけばどうなるか。
その競技を始める人、続ける人は減っていくでしょう。
結果として、競技そのものが縮小していく可能性もあります。
では、改めて問いかけたい。
「勝つことは、そこまで絶対的な価値なのか?」
どんな大会でも、必ず勝者は生まれます。
それは仕組み上、当たり前のことです。
一方で、競技の魅力を広げ、
新しいファンやプレーヤーを生み出せるチームや選手は、そう簡単には現れません。
私は、“必ず生まれる勝者”よりも、“競技の価値を広げられる存在”の方が、はるかに重要だと感じています。
今回のB革新、特に昇降格制度の廃止は、
そうした価値観の転換を象徴する取り組みです。
評価されるのは「勝ったかどうか」だけではありません。
地域にどれだけ根付き、どれだけ人を集め、
どれだけバスケットボールの未来に貢献しているか。
つまり、競技の“パイを広げられるか”が問われる仕組みです。
もちろん、この考え方は簡単には受け入れられないでしょう。
長年、勝利至上主義の中で成り立ってきた現場ほど、違和感や反発は大きいはずです。
それでも、この改革が進めば進むほど、
これまでの価値観の限界に気づく人は増えていくと思います。
もしそれでもなお、勝利至上主義に固執し続けるスポーツがあるとすれば──
その競技は、日本において厳しい未来を迎えるかもしれません。